数学:アレキサンダー・スピバク(Alexander Spivak)(イスラエル)


2016年6月17日アップ。

ワンポイント:盗用者を解雇しないで1年間のサバティカルを与えた「違法ではないが不適切な」事件

●1.【概略】

AlexSpivak-80x100アレキサンダー・スピバク(Alexander Spivak、写真出典)は、イスラエルのホロン工科大学(Holon Institute of Technology)・上級講師で、専門は数学である。
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目次(クリックすると内部リンク先に飛びます)
1.概略
2.経歴と経過
3.研究内容
4.日本語の解説
5.不正発覚の経緯と内容
6.論文数と撤回論文
7.白楽の感想
8.主要情報源
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2013年?(49歳?)、被盗用者であるテルアビブ大学のジーヴ・シュス教授(Zeev Schuss)が、ホロン工科大学からスピバク論文の評価を求められ、盗用が発覚した。

ホロン工科大学は、事件を公表しなかったが、イスラエルの新聞「ハアレツ」が公表した。

ホロン工科大学は、スピバクを解雇しないで、1年間のサバティカルを与えたが、このことは、海外から大きく批判された。

Holon_Institute_of_Technology,_bldg__8_from_Eイスラエルのホロン工科大学(Holon Institute of Technology)。写真出典

  • 国:イスラエル
  • 成長国:イスラエル?
  • 研究博士号(PhD)取得:
  • 男女:男性
  • 生年月日:不明。仮に、1964年1月1日生まれとする。顔写真からの推察だが、根拠薄弱
  • 現在の年齢:53 歳?
  • 分野:数学
  • 最初の不正論文発表:2008年(44歳?)
  • 発覚年:2013年?(49歳?)
  • 発覚時地位:イスラエルのホロン工科大学・上級講師
  • ステップ1(発覚):第一次追及者はテルアビブ大学のジーヴ・シュス教授(Zeev Schuss)で、被盗用者。ホロン工科大学に連絡
  • ステップ2(メディア): イスラエルの新聞「ハアレツ」のタリ・ヘルチ=ソヴァー記者(Tali Heruti-Sover)の記事
  • ステップ3(調査・処分、当局:オーソリティ):①ホロン工科大学・調査委員会? ②学術誌編集局
  • 不正:盗用
  • 不正論文数:2報が撤回
  • 時期:研究キャリアの中期から
  • 結末:処分は1年間のサバティカル。辞職なし

●2.【経歴と経過】

ほとんど不明。

  • 生年月日:不明。仮に、1964年1月1日生まれとする。顔写真からの推察だが、根拠薄弱
  • xxxx年(xx歳): xx大学を卒業
  • xxxx年(xx歳):イスラエルのホロン工科大学(Holon Institute of Technology)・上級講師
  • 2008年(44歳?):盗用論文を発表
  • 2013年?(49歳?):盗用が発覚した
  • 2014年(50歳?):新聞が不正だと指摘

●5.【不正発覚の経緯と内容】

アレキサンダー・スピバクは、ホロン工科大学の終身在職権(テニュア)を持つ上級講師である。

スピバクは、テルアビブ大学で研究博士号(PhD)取得を取得した人を自分の研究室のポスドクに採用した。

ahggdbbkk2008年、スピバクは、そのポスドクのかつての指導教官・ジーヴ・シュス教授(Zeev Schuss、写真出典)が2001年に発表した論文を含め、3つの論文から文章を盗用し、自分の論文に発表した。

具体的には、シュス教授の論文から、2つの章をコピペして、「2008年のInternational Journal of Pure and Applied Mathematics (IJPAM)」論文として発表した。

発覚の経緯は、以下のように、なんとも皮肉である。

2013年?(49歳?)、テルアビブ大学のシュス教授のもとに、ホロン工科大学からスピバクの論文のコピーが送られてきて、評価を依頼された。理由は不明だが、スピバクの昇進のための審査だろう。

シュス教授は自分の論文が盗用されていたので、盗用にすぐに気が付き、ホロン工科大学に盗用を伝えた。シュス教授はそれ以上のアクションをしなかった。

ホロン工科大学は調査を始めたらしい。しかし、調査開始を公表しなかったし、調査結果も公表しなかった。

2014年4月21日(50歳?)、学術誌「International Journal of Pure and Applied Mathematics (IJPAM)」はスピバクの2報の盗用論文を撤回した。以下に1報を示す。

キャプチャ1

MG_86462014年9月3日(50歳?)、イスラエルの新聞「ハアレツ」は、スピバクが論文を盗用したというタリ・ヘルチ=ソヴァー記者(Tali Heruti-Sover、写真出典)の記事を掲載した。

スピバクが論文盗用したにもかかわらず、ホロン工科大学はスピバクを解雇せず、1年間のサバティカルを与えた、という記事だった。

ホロン工科大学の処置は、海外から大きく批判された。

2015年5月(51歳?)、スピバクは2014年のヌーマン学会要旨(NumAn 2014)でも盗用したのが露見し、学会要旨の撤回を余儀なくされている。

●6.【論文数と撤回論文】

2016年6月16日現在、アーカイヴarXiv.org e-Print archive)で、アレキサンダー・スピバク(Alexander Spivak)の「数学(Mathematics)」論文を検索すると、論文は1つもヒットしなかった。どうして?

2016年6月16日現在、グーグル・スカラー(http://scholar.google.co.jp/schhp?hl=ja)で、アレキサンダー・スピバク(Alexander Spivak)を検索すると、約18,200論文がヒットした。多すぎて、どれが該当論文なのかわからない。

スピバクの撤回論文を「(retracted OR retracted) author:”Alexander Spivak”」で検索すると、3つの撤回論文がヒットした。最初の2つは該当するが、3つ目はわからない。

  1. The steady state absorption stream at an absorbing boundary
    A Spivak – INTERNATIONAL JOURNAL OF PURE AND APPLIED …, 2008 – ijpam.eu
    Page 1. RETRACTED International Journal of Pure and Applied Mathematics
    ————— Volume 44 No. 3 2008, 327-333 THE STEADY STATE ABSORPTION
  2. STREAM AT AN ABSORBING BOUNDARY Alexander Spivak …
    THE PROBABILISTIC CHARACTERIZATION OF THE ARRIVAL PROCESS OF PARTICLES INTO AN ABSORBING BOUNDARY
    A Spivak – ijpam.eu
    … Alexander Spivak Department of Sciences Holon Institute of Technology PO Box 305, Holon,
    58102, ISRAEL e-mail: spivak@hit.ac.il Abstract: We consider the arrival process of diffusing
    particle from a con- tinuum to an absorbing boundary. … RETRACTED Page 2. 74 A. Spivak …
  3.   [書籍] Philosophy of Exaggeration
    AG Düttmann – 2007 – books.google.com
    Page 1. Alexander Garcia Diittmann translated by lames Phillips Philosophy of Exaggaration
    I \I’IINTlNLI’LIM STLlTllII-S IN LON’I’IleN’I’AL l’HiLU’S’EJPH’“. Page 2. … Page 4. Philosojahy 0f
    Exaggeration Alexander Garcia Diittmann Translated by James Phillips Page 5. …

●7.【白楽の感想】

《1》イスラエルは極端に甘い

スピバクが論文盗用したのに、ホロン工科大学はスピバクを解雇しないで、1年間のサバティカルを与えた。この処置は、海外から大きく批判されているが、どうしてこんな処置をしたのか、信じられない。

白楽はイスラエルに滞在したことはない。イスラエルの学術文化を知らないので、これはイスラエルでは普通のことなのか、特殊なことなのか、わかりません。

ただ、スピバクはその後も盗用している。

印象として、スピバクは根っからの盗用者だろう。該当論文以外の全論文を調べれば、初期の論文からも盗用がゴロゴロ見つかるに違いない。

そういえば、イスラエルの研究ネカト事件は少ない。研究ネカトは許容され、研究ネカトがあっても問題視されないのがイスラエルの学術文化なのだろうか?

《2》捕食出版誌

スピバクが盗用論文を発表した学術誌「International Journal of Pure and Applied Mathematics (IJPAM)」は、捕食出版誌だと指摘されている。

こうなると、盗用も問題だが、そもそも捕食出版誌に投稿する行為自体、いかがわしい。

そして、スピバクは同じ学術誌「IJPAM」にさらに3報も論文を発表している(【主要情報源】①のコメント:Chris October 10, 2014 at 3:16 pm)。

http://ijpam.eu/contents/2009-53-2/12/
http://ijpam.eu/contents/2009-56-1/5/
http://ijpam.eu/contents/2010-62-1/3/

スピバクは研究者として「違法ではないが不適切」に思える。

●8.【主要情報源】

① 2014年10月7日のキャット・ファーガソン(Cat Ferguson)の「撤回監視(Retraction Watch)」記事:Blatant plagiarism sinks paper (and earns a sabbatical!) for mathematician – Retraction Watch at Retraction Watch
② 2014年9月3日のタリ・ヘルチ=ソヴァー(Tali Heruti-Sover)の「ハアレツ」記事:שקרים של אנשי חינוך – אשה עובדת – טלי חרותי-סובר
③ ウィキペディア英語版:Scientific misconduct – Wikipedia, the free encyclopedia
★記事中の画像は、出典を記載していない場合も白楽の作品ではありません。

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